お知らせ
2022.01.13
犬の皮膚病におけるシャンプーの役割 ~メディカルシャンプーのご紹介~

いぬの病院バウバウでは皮膚治療の一環として、メディカルシャンプーに力を入れております。
メディカルシャンプーとは、皮膚病の改善を目的として行うシャンプーのことです。
皮膚は臓器の中で唯一外側からの治療が可能な臓器です。
肝臓や腎臓に外用薬を塗るなんて不可能ですよね。
皮膚は内用薬ももちろんですが外用薬やシャンプーといった外側からのアプローチが可能です。
そのメリットを活かし、シャンプーという形で皮膚病の治療を進めていくのがメディカルシャンプーです。
内服薬や外用薬だけではなく、メディカルシャンプーも併せることで、症状は格段に良くなります。
わんちゃんの皮膚の状態に応じて、そのわんちゃんにあわせたシャンプープログラムを獣医師が考えます。
本日はメディカルシャンプーで皮膚の症状がぐんと良くなったわんちゃんを紹介します。
今回ご紹介するのは6歳のチワワの女の子、むぎちゃんです。
初診時、お腹・足に痒みがあり、赤くなってしまったとのことで来院されました。
身体検査にてお尻周り、お腹、足に発赤がみられ、腹部に黄色の鱗屑(フケ)も多数、右後ろ足の部分は発赤、鱗屑、更には脱毛もみられました。
以下が初診時の写真です。



皮膚の検査でテープを使用した検査(テープストリップ法)をしたところ、細菌(球菌)が検出されたため、膿皮症と診断しました。
視診でも黄色の鱗屑が見られており、細菌感染があると写真のような黄色の鱗屑がよく見られるので、症状とも合致しています。
膿皮症はわんちゃんの皮膚病では珍しくない病気です。
もともと皮膚に存在する細菌が増殖してしまい、皮膚炎を起こしてしまいます。
原因は様々で、真菌などの感染症やアトピー性皮膚炎、免疫疾患などがあります。
このような全身に症状が見られる膿皮症の治療としては、抗菌薬の全身投与がメインとなりますが、ここにメディカルシャンプーを合わせる事で、治るスピードも早くなり、内服薬の量や投与期間も減らすことができます。
むぎちゃんは、抗菌薬の全身投与と当院で週に1回メディカルシャンプーを実施することになりました。
むぎちゃんのメディカルシャンプーの内容は以下です。使用したシャンプー剤はノルバサンサージカルスクラブというシャンプー剤で、クロルヘキシジンが入っています。
クロルヘキシジンは殺菌作用があり、むぎちゃんのような膿皮症の症例によく使用するシャンプー剤です。
また、薬剤の入ったシャンプーをする際、つけ置きをしてもらうようお願いしています。
理想は10分です。
ただし、わんちゃんによっては10分のつけ置きが難しい場合があるので、出来る範囲にはなりますが、むぎちゃんの場合とてもいい子でしたので、10分のつけ置きを実施しています。
また、このような殺菌成分が入ったシャンプー剤は乾燥しやすいので、シャンプー後に保湿剤を使用しています。
むぎちゃんの場合はダームワンという保湿剤をシャンプー後に塗付しています。
メディカルシャンプー3回目(初診から3週間後)
お腹の鱗屑もなくなり、お尻周りの発赤も改善しました。
ご自宅での痒みもほとんどなくなったそうです。





